急速充電器1

電験に合格して電気主任技術者の資格を持っていると転職には非常に有利ですが、また新たに活躍の場が増えそうだと言う情報をお伝えします。

それは今後、電気自動車(EV)の普及に伴って電気主任技術者の需要も拡大すると言うお話です。

電気自動車(EV)と電気主任技術者。いったいどんな関連があるのでしょうか?

 

電気自動車

電気自動車の普及に不可欠な急速充電器のインフラ整備

本題の前に、ミニ情報を1つ。

日本で、人口当たりの電気自動車普及台数ナンバーワンはどの都道府県かご存知ですか?

1月22日の日本経済新聞の1面によると、岐阜県だそうです。

岐阜県では人口1万人あたり34.8台だそうです。東京都は15.4台で、岐阜県は東京都の2倍以上電気自動車が普及していることになります。

 

さて、ここから本題です。

電気自動車の普及はCO2排出量削減の観点から政府が力を入れている施策の1つです。

購入に際しては補助金や減税などの優遇措置を行っています。

経済産業省の『2030年の次世代自動車の国内普及目標』によると、2030年には電気自動車とプラグインハイブリッド自動車の普及目標は20%~30%となっています。

 

2017年時点の普及率は電気自動車が0.55%(2.4万台)、プラグインハイブリッド自動車が0.78%(3.4万台)と言う現状ですから、相当ハードルの高い目標に思えます。

データの出典はこちら。『EV/PHV普及の現状について』(国土交通省/経済産業省)*PDF形式のファイルです。

 

2030年に実際に目標に届くかどうかは別にして、大きな流れとして電気自動車の需要が高まり普及が進むことは間違いありません。

 

そして、電気自動車の普及には急速充電器の普及と言うインフラ整備が必要不可欠です。

これなくして長距離走行は不可能であり普及目標の達成もあり得ません。

 

急速充電器4

この電気自動車の充電器、あなたも利用したりご覧になったことがあるでしょう。

ガソリンスタンド、サービスエリア、空港、ショッピングセンター、道の駅などに設置されています。

今後はコンビニやパーキングエリアなど利便性の高い場所に設置が進むものと期待されています。

 

さて2018年時点での充電器の普及状況を見ると、普通充電器が22,287台、急速充電器が7,684台となっています。合計でざっと3万台と言うところです。(ZENRIN調査による)

今後、この急速充電器の設置台数を増やすことが必要です。

 

*急速充電器について詳しい情報が欲しい人は、東京消防庁のサイトからどうぞ。

急速充電設備の概要調査(東京消防庁)

 

*急速充電器の設置・運用に関する電気主任技術者の役割・必要性についてはこちらの記事も参考にしてください。

電気自動車専用急速充電設備の設置・運用に関する法規制(経済産業省)

電気自動車用急速充電器の設置・運用に関する手引書 (CHAdeMO 協議会 )

 

急速充電器の設置・運営には電気主任技術者が活躍

急速充電器の場合、車種にもよりますが、50kw仕様で凡そ30分~40分で80%充電といった感じです。

この急速充電器を設置するにあたり、電力会社から低圧、高圧、特別高圧、どの契約を行うか選ぶ必要があります。

 

電気自動車充電
電気自動車の充電

 

例えば、大型ショッピングセンターに設置する場合、すでに高圧での引き込み契約が成立していれば契約電力の値が変更になるだけで済みます。

 

しかし、従来は低圧契約だったものが高圧契約となれば充電器の設置場所に新規に受変電設備を用意する必要があります。

そして高圧電力で設置される急速充電器は自家用電気工作物扱いとなり、電気事業法第43条が適用されます。

 

すなわち、事業者主には電気工作物の工事・維持・運用に関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者の選任が義務付けられています。

高圧電力で設置される急速充電器の設置工事、設置後の点検、保安業務には電気主任技術者が必要になる訳です。

 

本当に電気自動車の普及が30%まで拡大した時、全国的に急速充電器も普及しており、そこには電気主任技術者が活躍していると言う訳です。

 

急速充電器1

 

大手転職エージェントサービスの求人を調べてみると、急速充電器の新設・増設案件が出ています。

電気主任技術者と合わせて、電気工事施工管理技士、電気工事士の求人も目立ちます。

確かにそうした資格も必須となります。

 

急速充電設備設置・運営に関する求人

では、急速充電設備設置・運用に関連する求人例をいくつか紹介します。

●急速充電器(高圧受変電設備)の新設/増設/改修工事

・第一種電気主任技術者

・第一種電気工事士

・1級電気工事施工管理技士

・月給 233,000円~400,000円

 

●電気自動車のための充電設備の施工管理

・電気工事施工管理技士

・電気工事士

・電気主任技術者

・年収 600万円~700万円

 

●電気自動車に使用される急速充電器の設置

・電気工事施工管理技士

・電気工事士

・年収 350万円~600万円

 

●電気自動車用充電器の設置工事

・1級電気工事施工管理技士

・年収 500万円~750万円

 

●EV用急速充電器の設置工事

・1級電気工事施工管理技士

・年収 500万円~700万円

 

以上5件は求人ボックス掲載です。

いずれの求人も急速充電器を含む施設・設備の工事、保守に関する求人となっています。

 

急速充電器の設置・運用に電気主任技術者の必要性を指摘する記事は多数見つかるのですが、実際の求人そう多くありません。

急速充電器の求人に関しては、一番需要の多い資格は電気工事施工管理技士(特に1級)であり、次が電気工事士(特に第一種)、そして三番目が電気主任技術者となっています。

求人件数の増減は時期によって違います。今後も求人件数は継続調査します。

*2022年2月調査

 

電気保安業界は手堅い

今回は電気自動車の普及にも電気主任技術者が活躍すると言うお話でした。

電気自動車の普及に急速充電器の新規設置は必須ですから、電気主任技術者の需要もまた必須です。

 

このように電気事業法第43条の適用範囲、すなわち事業用電気工作物の工事、維持運営、保安業務には必ず電気主任技術者が必要になります。

電気主任技術者と言う資格を活かすのに電気保安業界が手堅いのはこうした法的背景があるからです。

今後、電気自動車の普及に伴って電気保安業界にも必ず需要が拡大するでしょう。

 

当サイトの『第三種電気主任技術者(電験3種)が活かせる7つの転職先とは?』でも説明したように、電気保安業界は年収ベースで見ると必ずしも他の業種より有利とは言えません。

しかし、経験さえあれば中高年でも転職出来るし、定年後も引き続き仕事をすることも出来ます。

あるいは独立して自営の道を選択することも可能です。何より手堅い需要に支えられた、雇用の安定した業界だと言えます。

 

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