スケジュール

「品質管理の1日」とはどんな1日でしょうか。どんな仕事を、どんなふうにこなすのでしょうか?

品質管理の仕事未経験の人が、ネットの相談サイトなどでよくこの質問しています。

それに答えるべく、同じくネット上でいくつか「品質管理の1日」を紹介する記事が見られます。

 

でも、かなり多くの記事が「品質管理の1日」ではなく、「品質検査の1日」を紹介しています。

検査は品質管理の一部に過ぎず、他にも重要な仕事が山ほどあります。

品質管理の1日は決して検査員の1日ではありません。

私自身の品質監理の体験もまじえて、「品質管理の1日」を書きたいと思います。

これから品質管理の仕事を目指す人はぜひこの記事をお読み下さい。

 

「品質管理」と「品質検査」の違い

ある転職サイトに、「品質管理の1日」と言うタイトルのコラムが掲載されていました。

1000文字足らずの短いコラムだったのですが、私はそれを読んで相当強い違和感を感じました。

 

そのコラムを書いた人は品質管理の現場を知っているのだろうかと大いに疑問を持ちました。

少なくとも自分が品質管理の実務経験者ならこのタイトルでこの内容は書かないだろうと思ったのです。

 

早い話、そのコラムは「品質管理の1日」ではなく、「品質検査の1日」だったのです。

朝8時半の朝礼から始まって、17時の終礼まで、コツコツと検査員としての役目を果たすルーチンワークを切り取った1日が書かれていました。

 

目視検査2

 

そこに書かれてあった品質管理の1日はこんな感じです。(コピーではなく一部変えています)

 

【品質管理の1日】

●8時30分~9時 朝礼・検査業務の準備

●9時~12時 検査業務開始

●12時~13時 お昼休み 昼食

●13時~15時 検査業務

●15時~16時 課内ミーティング出席

●16時~17時 業務報告書作成

●17時 帰宅

ほぼ検査員としての1日スケジュールです。

 

一方、私が半導体工場で見て来た品質管理の1日は、上記のようなルーチンのスケジュールではありませんでした。

 

PDCAサイクル

 

朝はメールチェックから始まりますが、その後の仕事は日によって違います。

私が品質管理の現場で見て来た業務を、毎日のルーチン作業、毎月のルーチン作業、不定期業務に分けて紹介します。

 

【毎日のルーチン業務】

●朝礼

●メールチェック

●課内ミーティング(本日の勤怠・予定確認)

●業務報告

●終礼

 

【毎月のルーチン業務】

●品質月報の作成

●社内品質会議の開催

●定期内部監査

●顧客先との品質会議に出席

 

【不定期な業務】

●カスタマークレーム対応

●異常ロット発生対応(社内生産ライン)

●新規ライン・変更ラインの品質管理評価

●外部監査対応(顧客や認証機関など)

 

ざっとこんな感じです。

毎日の仕事の中に毎月のルーチン業務や不定期な業務が入ってきます。

クレーム対応や異常ロット対応以外はだいたい予定が決まっているので、毎日の業務の中に落とし込んで予定を立てます。

 

しかし、不定期な業務の中でもカスタマークレームは一番やっかいです。

 

 

まずはクレーム発生状況の把握から原因調査、出荷停止や製品回収などの緊急対応。

次に出荷再開に向けての暫定対策実施、そして不良発生に歯止めをかけた恒久対策の実施。

クレーム発生から収束まで顧客や市場への説明など、一刻を争うスピードと情報の正確さが要求されます。

 

こんなクレーム対応はいつ発生するか事前に分からないので予定の立てようがありません。

しかも、いざ発生すると最優先対応となり他の業務はストップとなります。

残業や休出で対応することも珍しくありません。

 

以上のように、品質管理の仕事を品質検査と同じように、毎日のルーチン業務スケジュールで説明することはできません。

 

別の記事でも書きましたが、品質管理とはJISの定義によると、

 

『品質管理とは、買手の要求に合った品質の品物または サービスを経済的に作り出すための手段の体系』

 

と書かれています。

『品質管理・品質保証の転職 250人の疑問・不安・悩み』

 

つまり品質検査は品質管理を行うための1つの施策に過ぎません。

そもそも量産品の品質検査なら製造部門の仕事であり、品質管理部門が日々生産ラインに入って検査を行うことはありません。

 

ただし出荷前検査として抜き取り検査を品質管理部門が行うなど、日々の生産に関わる業務もゼロではありません。

 

転職エージェントサービスにおける品質管理と品質検査の違い

色々な転職サイトで品質管理の仕事を検索すると、検査員の仕事が含まれていることがあります。

そうした求人では、

「品質管理=品質検査」

と言う図式で募集しています。

 

例えばこんな事例です。

ある転職サイトの半導体工場の「品質管理・品質保証」の求人ですが、具体的な仕事内容はこうです。

●半導体製造装置の工程検査書類チェック・運転検査・機能チェック・外観チェック

●半導体製造装置の新台ユニット検査

●半導体製造装置の単品部品検査(ユニットリーク検査、特殊ユニット洗浄及び検査)

●装置パッキングリスト作成

●装置出荷準備など

 

主な業務は検査であり、更に製品出荷作業まで含まれています。

この作業内容を見ると、量産品のライン検査であり、製造工程に組み込まれているようです。

品質管理に必要な検査には違いないのですが、作業としては「品質検査」です。

この作業に必要なのは検査に関する知識、検査スキルです。

 

一方、「品質管理・品質保証」の求人として一般的な仕事内容はこうです。

●新製品、新工場の立上げにおける不具合発生の未然防止活動

●工程内で発生した不具合の改善活動

●更なる品質向上に向けた活動

●品質を確保するための仕組み作り

●仕入先品質の改善活動

これはある自動車部品工場の「品質管理・品質保証」の求人から抜粋しました。

品質管理全般をカバーする内容ではないものの、品質検査ではなく品質管理の仕事です。

 

この仕事に必要なのは品質管理に関する知識、スキルです。

品質検査のように特定の検査工程だけに詳しいだけでは務まりません。

QC検定2級以上に合格しているとか、ISO認証業務で実績があるとか、品質管理業務の全体を理解して実践できる能力が必要になります。

ただ、品質検査の現場を体験していることは重要であり、品質管理の仕事をするには必須とも言えます。

 

QC7つ道具

 

転職エージェントサービスで「品質管理・品質保証」の職種で求人検索すると、品質検査の仕事と品質管理の仕事が両方見つかります。

しかし、その業務内容には今説明したような違いがあり、業務遂行に必要な知識やスキルも違います。

 

そして一概には言えませんが、品質検査より品質管理の方が年収条件は高額です。

例えば、リクルートエージェントとdodaで2つの年収条件を比較するとこうなります。

 

【年収600万円以上の求人の割合】

転職エージェント 品質検査 品質管理・品質保証
doda 55% 75%
リクルートエージェント 16% 60%

*2022年1月 キーワード検索と年収条件検索で調査

 

dodaでもリクルートエージェントでも品質管理・品質保証の求人の方が年収600万円以上の求人が多いことが分かります。

予定年収の面でも品質検査と品質管理の違いが分かります。

 

また、品質管理の求人はほとんどが正社員募集であり、品質検査は派遣社員募集の方が多いと言う違いもあります。

品質管理は企業として外部に出せない情報も扱うし、長期的にエキスパートを育てる必要のある業務です。

正社員募集がほとんどになる理由はここにあります。

 

まとめ

「品質管理の1日」は「品質検査の1日」ではないと分かって頂けたでしょうか。

もし未経験から品質管理の仕事を目指すなら、まずは品質検査の仕事からスキルを身に着けることをおすすめします。

品質管理の求人で未経験者が応募できる割合はせいぜい10%~15%程度ですが、品質検査ならもっとチャンスはあります。

未経験者歓迎案件が多く見つかります。

 

初心者OK

 

そこで品質管理に必要な知識やスキルを身に着けるのです。

まずはQC検定3級を目標に取り組むのもモチベーションアップに有効です。